相続登記の登録免許税の免税措置

相続による「土地」の所有権の移転登記について免税措置は以前から設けられていましたが、令和4年度の税制改正により適用期限の延長と拡充がされました。

 

免税措置の概要

①相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置

これは、例えば登記簿に記載されている(登記名義人)Aが亡くなり相続人Bが相続したが、その相続の登記をせずにいてそのままBも亡くなった場合に、通常土地の価格に対して0.4%の率(1,000万円とすれば4万円)による登録免許税がかかるところAから亡B名義に所有権を移転させる際の相続登記の登録免許税は課さない(免税)こととされています。

ただし、Bから土地を相続したCがいた場合に、BからCへの相続登記についてはこの免税措置はありません。

また、亡Bが生前に相続した土地を売却していた場合などでもAからBへの相続登記の登録免許税は免税となります。

 

免税措置のイメージ

(法務局ホームページより)

 

②少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置

土地について相続登記をする際、通常土地の価格に0.4%の登録免許税がかかるところ、土地の価格が10万円以下(改正後100万円以下)の場合は登録免許税は課さない(免税)こととされています。

免税措置のイメージ

(法務局ホームページより)

 

※①②について土地の価格とは、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合はその価格(納税通知書や評価証明書に「価格」や「評価額」として記載されている価格)となります。

 

 

適用期限の延長

この免税措置については、令和4年3月31日までとされていましたが、適用期限が3年延長されることとなり令和7年3月31日までとなりました。

 

免税措置の拡充

以前までは上記②の少額の土地の相続登記については、対象の土地は「市街化区域外の土地(法務大臣が指定する土地)」で土地の価格についても「10万円以下」とされていました。

今回の改正により、適用対象が「市街化区域の土地」も含むすべての土地となり、価格についても10万円から100万円に引き上げられることとなりました。

 

弊所でも相続登記をさせて頂く際も価格については容易に判断ができますが、相続される土地が市街化区域、区域外にまたがり複数ある手続きの場合の調査は手間のかかるものでした。こういったことは軽減されましたが、これからは都心部の土地についても持分や私道など相続登記の際は適用範囲が拡充されたことを再度意識しながら手続きを進めたいと思います。

相続登記の義務化(令和6年4月1日~)も始まることもあり、こういう制度を利用しながら適切に手続きを行いましょう。

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