7/1施行 相続法改正② 遺留分制度の見直し

これまでの遺留分制度

遺留分とは、相続人の生活利益保障の見地から、一定の割合が一定の範囲の相続人(兄弟姉妹以外の相続人)に留保されているものとされています。

自己の遺留分を侵害された人(遺留分権利者といいます)は、受遺者又は受贈者(遺贈や贈与を受けた人=侵害者といいます)に対して遺留分減殺請求をすることで、その侵害された財産を取り戻すことができます。

これまでの制度では、

例えば、父が長男へ家業を継がせるため、自社の株式や店舗用の不動産など事業に必要な財産を長男へ相続させる旨の遺言をしていても、その財産が高額で父の相続財産の大半を占める場合には、他の相続人から遺留分減殺の請求をされてしまうと、

相続財産の一部は当然に遺留分権利者に帰属していたものと扱われるため、結果、事業用の財産が、長男と他の相続人との共有となってしまうことで、円滑な事業承継の障害となる場合など不都合なことがありました。

さらに、この場合に共有関係を解消するためには、別途、共有物分割の手続きをしないければならず、

また、紛争となってしまうと、遺産分割事件は家庭裁判所であるのに対し、遺留分減殺事件や共有物分割請求事件は地方裁判所の手続きで解決されることになり、相続を原因とする紛争でありながら解決する手続きが異なることで、非常に手間のかかるものでした。

 

遺留分についてくわしく

 

改正の内容:①遺留分侵害額請求権へ

これらの問題を踏まえ、遺留分権利者が受遺者又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求めることができることになりました。

これにより、当然に財産が共有されるということではなく、遺留分請求により相当額の金銭債権(お金を請求できる権利:遺留分侵害額請求権)が発生するということに改められました。

上記の例では、事業用の財産が共有されることはなく、事業用の財産は長男へすべて引き継がれ遺留分に相当する金銭を長男が支払えば良いことになります。こうすることで事業の承継が円滑にできる可能性が高まります。

なお、条文上は例外を認めておらず、遺留分権利者が金銭ではなく現物でほしいと求めたり、受遺者や受贈者が現物で返還するといった選択はできないものとされています。

ですが、代物弁済(現物で返済すること)を用いることで、同様の結果を生じさせることは可能と考えられます。

 

改正の内容:②金銭債務についての相当の期限の付与

とはいえ、相続財産が不動産ばかりで預貯金等は少額であるときなど、遺留分の請求により金銭の支払いがすぐには難しい場合もあるかと思います。

そこで、遺留分侵害額請求権の行使により金銭の請求を受けた受遺者又は受遺者は、裁判所へ請求することにより金銭債務の一部又は全部の支払について期限の許与を付すことができることになりました。

どの程度の期限が付与されるのかは、今後の裁判所の判断を見ていくこととなります。

 

(出典 法務省ホームページより)

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