民法改正で変わる相続⑤ 「遺留分制度の見直し」

こんばんは。民法改正シリーズ第6弾です。

⑤「遺留分制度の見直し」

これまでの規定では遺留分を請求された場合、相続財産が当然に共有状態となってしまうため、財産に不動産や自社株式がある場合は「すぐに不動産を売却したい」、「事業の承継を円滑に行いたい」ときに共有状態であるため支障が出るケースもありました。

そこで今回の法改正により、遺留分の請求があった場合に請求者が取得するのは相続財産の持分ではなく、遺留分相当額の金銭の支払い請求権を取得することとなります。これにより、不動産や自社株式などの相続財産は共有とならずに請求者へ金銭を支払えば良いこととなります。

また、遺留分の請求を受けた相続人がすぐに支払ができず結局相続した財産を売却しないといけないといった事態が想定され、これを保護するため、裁判所により支払について相当の期限を与えることができるようになります。

 

「遺留分の算定方法の見直し」

これまで遺留分の請求時の遺留分の額を算定するための、特別受益(通常の生活に必要な費用などを超えるような贈与や援助など)に該当する贈与についてはさかのぼってすべて計算に入ることのなっていましたが、今回の改正により、さかのぼってすべてではなく相続開始前の10年間に限定されることとなります。

これにより、複雑であった遺留分の額の算定が容易になり、遺留分の問題も早期に解決できることとなりそうです。さらに事業承継の場面では早期に株式を贈与しておくことで遺留分の額に算定されるリスクを回避するといったことも考えられます。

 

それでは今日はここまでで。