民法改正で変わる相続④ 「自筆証書遺言の方式緩和」

こんばんは、今日も民法改正・第5弾です。

④「自筆証書遺言の方式緩和」
これまで、自筆証書遺言は遺言者自身で全文を自書し、押印しなければならず訂正する場合の方法も決まっていたりと、要件を満たさない場合は遺言が無効となってしまう場合もあります。
そもそも、財産の種類がたくさんあり、複数の方へ特定の財産を取得させたい場合などはすべての内容を正確に自書することはかなり大変です。

そこで、今回の改正により相続財産について、パソコンで入力した財産目録や預金通帳の写し・不動産については登記事項証明書などへ署名・押印し遺言書へ添付することができるようになりました。(遺言書の記載としては、「別紙1の不動産を〇〇に相続させる」などの記載方法となります。)

※平成31年1月13日より施行されました。

「自筆証書遺言に関する見直し」(法務省)

 

 

「法務局での自筆証書遺言の保管制度」
公正証書で作成した遺言書は原本を公証役場で保管してもらえますが、自筆証書遺言は特に保管方法に決まりがなく紛失してしまったり、遺言を作成しとことを秘密にしていた場合は相続人が遺言書に気づかず、遺産分割協議で財産の取得を決めてしまい亡くなった方の意思が尊重されなくなってしまうといったことがおこり得ます。

そこで、法務局により遺言書を保管してもらえる制度が創設されました。
遺言書を保管するときは、遺言を作成した人が法務局に行く必要があり、保管後は遺言の閲覧や返還を求めることができます。
相続発生後は、相続人等が法務局に対し遺言書の保管の有無・遺言書の閲覧・遺言書の写しの交付を請求することができます。
法務局は閲覧や写しの交付があった場合は、他の相続人へ遺言書の保管を通知します。

この保管制度を利用した場合、これまでは自筆証書遺言については家庭裁判所による検認の手続きが必要でしたが、この遺言書の検認が不要となります。

この改正により、遺言者の負担・遺言書の紛失のリスクを削減し、遺言書を作成しやすくなったことで、遺言書を作成する方が増加し遺言者の意思が尊重され、後日の紛争を予防することが期待されます。

それでは、今回はここまでです。