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高齢化、認知症にそなえて…
「将来的に、意思能力が衰えたり、認知症になってしまったら・・・ 」
「体を悪くして、外出が難しい状態になってしまったらどうしよう・・・ 」
今後、日本は世界でも類を見ない「超高齢社会」に突入すると言われていますが、すでに日本の総人口に対する65歳以上の高齢者の割合が26%を突破し、国内の高齢者(80歳以上)人口は1千万人を超えた(総務省調べ)そうです。しかも、現在の日本は「4人に1人が高齢者」ということになりますが、2035年には総人口に占める高齢者の割合は33%以上となる推計も出されています。
任意後見制度とは
「この先、老いていく自分はどうやって生活を送っていけばいいか」「子供や親類に負担をかけながら生きていくしかないのか」「頼れる家族が無い場合に、何かしらサポートを受けることはできるのか」といった「大きな不安」を抱える方は少なくないと思います。
このような不安について準備されている制度として「任意後見制度・法定後見制度」が存在します。
任意後見制度とは、前記のような将来の不安に備えて、たとえば信頼できる家族や知人、そのほか司法書士や弁護士といった法律家と、「任意後見契約」という「将来、後見人になってもらう契約書」を、お元気なうちに公正証書で作成しておくことができる制度です。
もし、「自分で生活をしっかりと送ることが難しくなってきた時」に、「任意後見契約」にて後見人に指定されている方が、速やかに後見人に就任する手続きを行ってくれるという制度です。
法定後見制度とは
「任意後見制度」に対して、「法定後見制度」とは、既に意思能力が無い(乏しい)方のために、ご本人をサポートしている方などが家庭裁判所へ申立てを行って、ご本人の財産管理などを行う「後見人」を裁判所に選任してもらう、という制度です。
すでにご本人をサポートしている方が、そのまま後見人等に選任されることも多いですが、管轄の家庭裁判所にあらかじめ登録されている法律家(弁護士、司法書士 など)が後見人に就任することもあります。
裁判所により、成年後見人等が選任されますと、後見人としての業務が開始します。ご本人の財産等の管理や、ご本人の財産状況に関する裁判所に対する定期的な報告等の職務をおこなうことになります。
「任意後見制度・法定後見制度」のご利用を検討されている方で、当事務所へご相談にお越しいただくことが難しい場合は、ご自宅にお伺いして、後見制度のご相談を無料で承ることも可能ですので、ぜひご利用をご検討ください。
家族信託とは
家族信託とは、ご本人の判断能力の低下に備えて信頼のおける人に財産の管理を任せる(託す)というものですが、任意後見契約とは違う部分があります。それは、
①任意後見契約は、元気なうちに契約を結んでおき、原則本人の判断能力が低下してから裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立てた段階で開始しますが、家族信託は契約後からすぐに始めることができる。
②任意後見契約では、任意後見監督人という後見人の管理を監督する人が必ず選任されるため裁判所の関与を受けることになるため、任意後見契約に比べ家族信託の方がある程度柔軟な財産管理が可能となる。
③任意後見契約では、身上監護を行うことができるが家族信託では身上監護行うことができない。(※身上監護…医療や介護、療養看護などの手続きなどを行うこと。)
⑤家族信託では、信託する財産に不動産がある場合には信託した旨の登記が必要となり、金銭の管理は専用口座で管理をする必要がある。
といった違いがあります。ご本人やご家族の状況によりそれぞれの手続きを選択または併用することを検討しましょう。
財産管理等委任契約とは
財産管理等委任契約(任意代理契約ともいいます。)とは、ご本人の判断能力が低下する前から財産の管理や身上監護を任せる契約です。判断能力はある状態だが身体が不自由である場合や入院中で財産の管理が難しい場合などに利用され、判断能力が低下してからの任意後見契約と組み合わせて締結されることが多いです。しかし、財産管理等委任契約は、任意後見契約とは違い原則として本人が適切に管理が行われているかを監督する必要があり、財産管理で不正が発生することも考えられますので、不正を防止する内容としておくことが必要です。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約とは、ご本人の死後の事務について契約しておくものです。高齢化が進む中、身寄りがいない・親族はいるが不仲であり死後のことを頼みづらいなどの理由から契約する人が増えています。死後の事務として①医療費や施設利用料、公共料金の支払、②行政官庁等への諸届、③家財などの整理・処分、④葬儀・埋葬に関すること、⑤様々な支払いなどのための預託金について、などを決定し契約します。