自筆証書と公正証書の比較
このページをご覧の方の中には、「自筆証書遺言を作成したいので書き方を調べたい」とお考えの方がいらっしゃるかと思いますが、以下の比較表をご覧いただくとおりそれぞれに特徴があります。
「自筆証書遺言」の長所をしいて挙げるとすれば、「ペンと紙さえあれば、いつでも作ることができる」という点かもしれませんが、「遺言」とは「大事な資産を、大事な人にきちんと引き継ぐための重要な文書」ですので、手軽に作成されるべきものではありません。
自筆証書遺言は、「数日後、数時間後に死亡するかもしれない」といった、いわば「緊急時」に作成を試みるものであり、一般的にきちんとした遺言書を作成する場合は、まずは「公正証書遺言」の作成からご検討いただくことになります。
自筆証書と公正証書の比較
作成する際の手軽さ
自筆証書遺言
〇 自宅などですぐに作成することができるが、自書する必要がある。
公正証書遺言
▲ 事前に公証役場と内容の打合せを何度も行ったうえで、公証役場にて、証人2名の立会いのもと作成しなければならない。また所定の手数料がかかる。
書き間違えずに作成することが可能か
自筆証書遺言
▲ 自書する必要があるため、常に書き間違えるリスクはある。
(※平成31年1月13日の民法の改正により、財産目録等の添付により自書しなければならない部分が緩和されました。)
公正証書遺言
〇 全文を公証役場が事前に文書で用意してくれるので書き間違えるリスクはない。
遺言が無効になるリスクへの備え
自筆証書遺言
▲ 遺言の「要式」を満たさない場合は、遺言自体が無効になるリスクがある。
公正証書遺言
〇 公証役場で作成するため、必ず遺言の要式をみたすため無効となることはない。
「改ざん」されずに保管することができるか
自筆証書遺言
▲ ご自身で管理することとなるため、第三者が内容を書き換えてしまったり、破棄されてしまうおそれがある。
(※令和2年7月10日の民法の改正により、自筆証書遺言の保管制度ができました。)自筆証書遺言の保管制度
公正証書遺言
〇 公証役場で保管されるため、「改ざん」されるおそれはない。
亡くなった後の手続きのスムーズさ
自筆証書遺言
✕ 自筆証書遺言を家庭裁判所へ提出し、「検認」の手続きをうけなければならない。
公正証書遺言
〇 作成時に公証人の証明を受けているため、亡くなった後に裁判所へ提出する必要なし。
亡くなった後の金融機関や市役所等の取扱い
自筆証書遺言
▲ 預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続き時に、金融機関、役所などに提出した際に遺言書の内容について慎重なチェックがなされる。
公正証書遺言
〇 公正証書で作成されているため、信頼度が高く、手続きがスムーズに進みやすい。