目次
法定相続人の順位
民法は相続人になれる人の範囲や順位を定めていて、相続権がある人を「法定相続人」と呼びます。
亡くなった方の配偶者は必ず相続人になるとし、配偶者以外の遺族については、次のとおり、相続人となる順位を定めています。
先順位の者がいる場合には、後順位の者は相続人にはなれません。
・第二順位:直系尊属(親・祖父母など)
・第三順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹を代襲相続する場合の甥・姪)
法定相続分の割合
法定相続分とは、亡くなった方の財産を相続する場合にあたり、各相続人の相続分として法律上定められた割合をいいます。この割合で分けないといけない訳ではなく、亡くなった方が遺言で指定したり、相続人による遺産分割協議で取得する財産を自由に配分できます。
例えば、上図のように次男が亡くなった場合は配偶者と子が1/2の割合が法定相続分となり、子が複数いる場合は1/2の子の相続分を均等に分けることとなります(たとえば、子が2名の場合には1/4ずつ)。もしも次男に子がいなかった時は配偶者と直系尊属(図の場合は父が)配偶者2/3・父1/3の割合、子もなく直系尊属も亡くなっている場合には配偶者と兄弟姉妹(図では長男)が配偶者3/4・兄弟姉妹1/4となり、配偶者が亡くなっている場合は第1順位の子がすべての財産を相続することになります。(子(第1順位)がいないときは直系尊属(第2順位)がすべて、子も直系尊属もいないときは兄弟姉妹(第3順位)がすべて相続することとなります。)
数十年前に亡くなった方の相続の場合
これまで相続の法律は何度か改正されています。相続人や相続分を判断する際は相続が発生した当時の法律が適用となりますので、
数十年前に亡くなった方の相続(例えば不動産の名義が祖父の名義のままである場合)をする場合は注意が必要です。
昭和56・1・1以降に相続が発生した場合
この場合は現在と違いはなく通常の手続きを進めることになります。
昭和23・1・1~昭和55・12・31に相続が発生した場合
この場合は現在の法定相続分とは下記のように違う割合であったので、注意が必要です。
このように昭和56年以前は配偶者の相続分が現在より少なくなっています。
遺産分割協議で相続人の皆さんの合意で取得する人を決めることができる場合は特に影響はないかもしれませんが、法定相続分で分けたい場合や紛争性がある場合などは注意が必要です。
また、昭和23・1・1~昭和55・12・31の期間の相続については、兄弟姉妹の代襲相続に制限がありませんでした。
これは、現在では兄弟姉妹が相続人となるとき、亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹にすでに亡くなっている方がいる場合はその子(甥や姪)が相続人(これを代襲相続といいます)となりますが、その甥や姪も被相続人よりも先に亡くなっていてさらにその甥や姪に子がいる場合でも制限があり甥や姪の子には相続権はないことになります。
ですが、この期間の相続に関しては制限がなく甥や姪の子にも相続する権利がありますので、誰が相続人となり誰と財産について話し合う必要があるのかを知る際も注意が必要です。
さらに昭和22以前の相続については、「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(応急措置法)」が適用されたり、「家督相続」があったりと複雑になることが多いので専門家に相談されることをお勧めします。
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