遺留分放棄
遺言を残しても遺留分を侵害していると、遺留分権利者から遺留分減殺請求がなされ遺言どおりの遺産の承継ができないおそれがあります。
そこで、一定の手続きを経て相続開始前に遺留分を放棄してもらうことが可能です。
遺留分の放棄手続き
(1)相続開始前の放棄
①申立先
被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。
②家庭裁判所の判断基準
遺留分を請求する権利の処分は自由ですが、制限なく認めると誰かから強要されたりして遺留分権利者の自由な意思を抑圧し放棄をさせられるといったことが起こり得ます。
そこで、相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要としています。
判断基準
1⃣放棄が遺留分権利者の自由意思に基づくか
2⃣遺留分を放棄する理由に合理性・必要性があるか
3⃣放棄と引き換えになされる代償が存在するか
1⃣放棄が遺留分権利者の自由意思に基づくか
2⃣遺留分を放棄する理由に合理性・必要性があるか
3⃣放棄と引き換えになされる代償が存在するか
(2)相続開始後の放棄
相続が開始した後は、遺留分権利者は遺留分や遺留分侵害額請求権を自由に放棄することができ、家庭裁判所の許可は必要ではありません。
必要書類
1⃣ 申立人の戸籍謄本 :請求先 市役所等
2⃣ 被相続人の戸籍謄本:請求先 市役所等
3⃣ 収入印紙800円 郵便切手(金額は各裁判所によって異なります。)
1⃣ 申立人の戸籍謄本 :請求先 市役所等
2⃣ 被相続人の戸籍謄本:請求先 市役所等
3⃣ 収入印紙800円 郵便切手(金額は各裁判所によって異なります。)
※審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがあります。
遺留分放棄の効果
遺留分の放棄がなされても、共同相続人の遺留分が増加することはありません。
また、遺留分の放棄をした相続人であっても相続権は失いません。したがって、遺産分割協議には参加する必要があり、被相続人が債務超過のときに、債務を承継したくないときは相続放棄をする必要があります。
遺留分の放棄をした人が被相続人の相続開始前に死亡して代襲相続となった場合には、遺留分放棄の効果は代襲者にも及ぶので、代襲相続人は遺留分の減殺請求はできません。