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現物分割
現物分割とは、遺産をそのままの状態で特定の相続人が取得する分割方法です。
例えば、自宅の土地・建物は母が、株式は長男・農地は二男といった場合や、土地をいくつかに分けて(分筆して)各相続人がそれぞれ取得するといった場合です。
現物分割によるときは、各遺産をそのまま取得することとなりますので、法定相続分のとおりに分割したいときには正確に各相続分の割合で分けることは難しくなりますが、相続人全員が合意している限り問題はありません。
代償分割
代償分割とは、遺産の現物は共同相続人中の一人または数人に取得させ、その取得者に現物を取得しなかった他の相続人に対する債務を負担させる分割方式です。
例えば、遺産の大半が自宅の土地と建物で一人の相続人が居住しており、そのままその相続人が相続することとし、遺産を取得できない他の相続人へ自己の資金から金銭を支払うといった場合です。そのほか、事業用の資産や自社株式など共有化を避けたいときや、換価することが難しい遺産などの場面で代償分割をするケースが多いです。
注意点
代償分割では、代償金の支払いを分割払いにしたり、一定期間(5年以内に支払うなど)の支払い猶予などの形をとる場合は、遺産分割は終了したにもかかわらず長期にわたって支払関係が続くことになりますので、可能な限り一括払いとしたり、担保を設定するなど確実に支払われるような方法を検討することも必要です。
相続税の扱い
代償分割があった場合の相続税の課税価格は、次のように計算されます。
①代償財産を交付した相続人
相続した財産額 - 代償財産の額
②代償財産の交付受けた相続人
相続した財産額 + 代償財産の額
換価分割
換価分割とは、遺産を売却し金銭に換価し、その金銭を相続人で分割する方法です。
上記の例とは逆に、自宅の土地・建物が遺産としてあるが相続人である子は結婚して他府県ですでにマイホームがあり、今後誰も居住する予定がなく売却する場合や、分けることが難しい財産を換価するなどの場合に利用されます。
注意点
①換価の取り決めをしておく
換価分割の際、相続人の全員で換価すると人数が多い場合や遠方の相続人がいる場合など負担がかかるため、一旦代表(売却担当)の相続人を決め代表の相続人が売却の手続きをすすめることが多いと思います。
このときに「売却に関しては代表の相続人に一任する」、「いつまでに売却すること」、「最低でもこの金額以上で売却すること」などを取り決めておく必要があります。
②遺産分割協議書の記載
相続した不動産を換価する際、亡くなった方の名義から直接買主への名義変更はできないので一旦代表(売却担当)の相続人の名義にする必要があります。
そのため遺産分割協議書には「換価分割のため代表の相続人の名義で相続登記をする」ことを明記しておかなければ、換価した金銭を他の相続人へ送金したときに贈与したとみなされ贈与税が課税される可能性があります。
換価した場合の譲渡所得税の取扱い
不動産などを換価した場合は、譲渡所得税が課税されますので注意する必要があります。
換価金を法定相続分で取得する場合は、各相続人が換価分割の対象となる不動産等を法定相続分で取得したあと売却したものと考えるため、売却代金や取得費などを法定相続分で按分して、各相続人が譲渡所得税を申告することになります。
※お手続きの際は、税務署か税理士さんにきちんとご相談されることをお勧め致します。ご希望の方には、信頼できる税理士さんをご紹介いたします。